大植英次/大阪フィル定期/マーラー「第3交響曲」 ~ これはバイロイト土産!
2005/9/9

一週間前の「青少年のためのコンサート」を聴き逃したので、私にとってこれがバイロイト後初の大植英次/大阪フィルとなる。「青少年…」は、演奏水準も高く、大変に盛り上がったコンサートだったようだ。残念。でも…、今夜のコンサートもすさまじい盛り上がりだった。

定期演奏会はマーラーの第3交響曲、児童合唱が入るから満席が保証されたようなものだが、やっぱり、補助席は出るは、立見は出るは…

私、もともと木曜日の会員なのだが、都合が悪くなって、金曜日に振り替えてもらおうとしたら、早々に完売しており事務局では対応できないとの答。「そこを何とか」とお願いすると、いちおう「逆の希望の人が出たら連絡します」ということで、アテにせずに待っていたら1時間後に大阪フィルから電話。ありがたや、2週連続で聴き逃す事態は回避。

両端楽章の出来が出色。とりわけ第1楽章の音楽は、これまでこのコンビで聴いた多くのコンサートとはちょっと違った。意外なほどの遅い足取りだ。各フレーズを丹念に振っていくところは、これまで同様だが、ずっと重い音がする。ただし、重いが明るい音。そう、バイロイトからのネット中継で聴いた音に似ている。そして全休止をたっぷりとる。そこで音楽が弛緩しなかったのは、大阪フィルも気力充実ということだろう。

聴き応えのあった第1楽章、これだけでも充分という感じ。余韻が消えた一瞬、拍手しようかなと思ったが、踏みとどまる。そのあと、ソリストの坂本朱さん登場で拍手が出るんだったら、第1楽章終了時の拍手のほうが…

第2楽章は第1楽章の反動か、少し散漫な印象。最初からちょっと飛ばしすぎたかな。個々の楽器の遊びがもっとほしいなあという感じ。第3楽章で盛り返して、あとは一直線に上昇気流に。舞台裏のポストホルンは見事だった。トランペットも快調。トロンボーンとホルンは音がどうのこうのというよりも、もう少し歌ごころがほしい。まあ、細かいところでは難があるが、そんなことは気にならない集中力を感じる。それが最高に発揮されたのは終楽章。弦楽器の息の長い旋律に徐々に管楽器が加わり、音楽はうねり高まり、フルオーケストラのクライマックスに至る。90分を優に超える大曲、全く退屈しなかった。大植氏、バイロイトで一皮むけたのかな。爆発的な拍手の前のためらいがちな拍手に混じって「わあーーっ、すごーい」という女性の声がはっきり聞き取れた。

女声合唱は大阪フィルハーモニー合唱団、それに大阪すみよし少年少女合唱団が加わり、それぞれ約60人ぐらい。出番は短いけど、よく練習していたようす。この曲、大植氏の師匠バーンスタインがニューヨークで演奏したときに聴いたことがあるが(DGのライブ録音あり)、ブルックリン・ボーイズ・コーラスの子供らは出番までじっとしてられずに、舞台上でゴソゴソしてばかり。それに比べ、日本の子供の行儀のいいこと。身じろぎせずに出番まで一時間だから…おつかれさんです。

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