どう見てもタイトル負け ~ 大阪センチュリー交響楽団のフランス・プロ
2005/10/21

「パリからの風が吹く-フランス近現代の秘曲を集めて-ヴィルトゥオーソの復権vol.4」という大層なキャッチコピーが付けられたコンサートだ。招待券をいただくことがなければ、まず5000円出してということにはならなかったと思う。

プログラムの内容の珍しさ、ひょっとして掘り出しものに出会うかもと、少しは期待して出かけたが、結果は低調なものに終わったコンサートとなる。チケットをもらってこんなことを言っては何だが、嘘をついても仕方ないし、招待券が来なくなろうが、それはそれで構わないこと。

サン・サーンス:ハープのための小協奏曲 藤田裕郁理(Hp)
 トマジ:サクソフォン協奏曲 辻本剛志(Sax)
 イベール:フルート協奏曲 池本直絵(Fl)
 ラヴェル:シェエラザード 磯島朋子(Sop)

こんなふうに複数の若手演奏家をソリストに立てたコンサートを、以前にもチケットをいただいて聴いたことがある。今も続いているのかどうか知らないが、大阪シンフォニカーの「ひまわりコンサート」というシリーズだった。ソリストはともかく、あのとき指揮台でバックを務めていたのが、その後ブレイクした女性指揮者(西本智実)なので、そんなこともある。彼女にして、演奏会終了後に倒れたらしいから、物怖じしない若い人でも舞台の緊張というものは強いのだろう。

演奏の腕前は悪くはないとは思う。でも、どの奏者も音楽を聴いたという気にならないのが淋しいところだ。どこかでハッとする美しい音を聴かせてくれたなら、それはそれで注目なのだが…

金洪才指揮のオーケストラはきちんとした演奏だ。若い奏者を盛り立てることが優先だろうから、あまり自己主張はしない。それがかえって、奏者の負担になったのかも知れないなあ。フルートなど、オーケストラの奏者のほうが上手いコンチェルトというのは厳しい。ラヴェルに至っては、何語で歌っているのか最後まで全く判らない始末。

大阪の新進演奏家の水準って、この程度のものかと残念な気持ちだ。なのに、この値段で客席がほとんど埋まっていたのは驚き。四人の奏者の身内関係などが大挙押しかけたのだろう。なんだか発表会という感じだった。

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