李心草/大阪フィル定期 ~ 中国の不思議な指揮者
2005/10/27

休日ならともかく、平日にコンサートのハシゴをするなんて初めてのこと。午後から遠出をしたものだから、大阪まで戻るのはおっくうだったが、定期演奏会のチケットを無駄にするのももったいない。

行きがけの駄賃じゃないが、阪神百貨店の日本シリーズ"惨敗"記念セールを覗いてからシンフォニーホールへ。珍しくクロークに荷物を預けたら、縦縞に虎のマークのショッピングバックが他にもあるある。やあやあ、ご同輩。

コンサートが始まって、ちょっと後悔、だった。これなら、とっとと家に帰っておいたほうがよかった。おまけに1500円のワイン福袋を買ったはいいが、23000円相当の逸品ではなく、中身は1600円の残念賞だったし。

指揮:李心草  ピアノ:パスカル・ロジェ
 金湘(ジン・シアン):「巫」作品62 (1997)
 サン=サーンス:ピアノ協奏曲第5番ヘ長調作品103「エジプト風」
 ワーグナー:ジークフリート牧歌
 R.シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」

最後のR.シュトラウスがなかったら、本当につまらなかったで終わるところだった。指揮者の同朋の作曲家の作品は騒々しくて気に入らなかったし、コンチェルトの間は居眠りばかりしていたし、ワーグナーも単調だったし。ところが、「ティル…」になって俄然おもしろくって。

とっても軽快、活き活きとした音楽が、抜群の運動性をもって進む。変幻自在、大植英次のとき以上ではないかと思えるほど。各パートも上手いし、楽器間の呼吸も言うことなし。こんなにクリアな「ティル…」になるとは思いもよらなかった。この三年で、大阪フィルは、ずいぶん音が変わったし、響きが明晰になった。音楽監督のときだけではなく、客演指揮者のときも、そう感じることがしばしばある。逆に、肌合いが合わないのか、能力不足なのか、その音を引き出せずに終わってしまう指揮者も皆無ではない。

この李心草という指揮者、ダメなほうの人かと思ったら、ラスト一曲で鮮やかな大逆転だった。最後まで聴いていてよかったよかった。

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