小泉和裕/大阪センチュリー「レクイエム」 ~ 私、「バヤゼット」後遺症?
2006/2/24

週の半ばから風邪気味で、チケットは持っているけど、いったんはパスしようかなと思った。でも翌日は休み、何とかなるだろうと気をとりなおしてシンフォニーホールへ。体調もさることながら、とてつもないオペラを聴いた直後に、声楽曲を聴くのはどうかなと心配も…

生誕250年でモーツァルトが多くなっているが、シューマンも没後150年という記念の年のよう。それで、プログラムはこんな感じに。

ハイドン:ホルン協奏曲第1番
   ラデク・バボラーク(Hr)
 シューマン:4本のホルンとオーケストラのためのコンチェルトシュテュック
   ラデク・バボラーク、ドンナ・ドルソン、向井和久、望月正樹(Hr)
 モーツァルト:「レクイエム」(ジェスマイヤー版)
   日紫喜恵美(S)、福原寿美枝(A)、西垣俊朗(T)、藤村匡人(B)

前半と後半、弦楽器はともかく、管楽器はほとんど交替、後半には前半大活躍のホルンの出はないし、フルート、オーボエもない。替わりにトランペットとトロンボーンが登場という管楽器奏者にとっては嬉しいプログラムかな。

ソリストのラデク・バボラーク氏は、前半フル出場で、いい音のホルンを聴かせてくれた。技術的なことは判らないが、とても柔らかい音が出る。どうしてこんなに音が違うんだろう。あとでプログラムを見たらベルリン・フィルのソロ・ホルン奏者とある。

大阪センチュリー交響楽団の弦セクションは薄いがすっきりした音を出していて、ホルンを際ただせるということでは、これも悪くない。

次のシューマンは、思ったよりも長い曲だった。4人の奏者が舞台前列、指揮者の前に出て、小泉和裕氏は上手に座ったバボラーク氏を振り向いてキューを出すという寸法。4本のホルンと言っても聴いた感じはソロに3本のホルン(このオーケストラのメンバー)が厚みを付けるという風だ(なお、オーケストラの中にもホルンが2本)。シューマンにしてはなかなか変化に富んで、面白みのある曲。でも、傑作かと言われると…

さて、後半の「レクイエム」、特筆すべきはコーラスの良さだろう。一緒に聴いた友人の言によると、大阪のオーケストラのコーラスでは、ここがピカイチとのこと。確かに、メンバーの平均年齢も大阪フィルのコーラスよりはずっと低そう。想像するに、こういうコーラスはアマチュアでボランティアみたいなところがあるから、実力本位でメンバーを厳選するということが困難な事情もあるのだろう。したがって高齢化も進む。その結果として歴史が古くなるほど…

何と言ってもコーラスが主役の曲なので、よく練れた演奏は大歓迎。残念ながら、ソリストにはあまり生彩がなかった。と言うか、私、「バヤゼット」後遺症に違いない。

来年のGW、例のラ・フォル・ジュルネではスンハエ・イムがこの「レクイエム」のソリストにクレジットされているようだ。まだ、横浜での彼女の声が耳に残っている状態、きっといいだろうなあ。日紫喜恵美さんの声に少し荒れを感じただけに、よけいにそう思ってしまう。

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