ネーメ・ヤルヴィ/京都市響 ~ さすが、おとうちゃん!
2006/7/4

50周年を迎えた京都市交響楽団の定期演奏会は最近とても面白いので、はるばる京都のはずれまで出かけているが、来た甲斐があったというもの。開演前に立ち寄ったホールから2番目に近いタイ料理も美味しかったし。

グリーグ:叙情的組曲 op.54
 グリーグ:4つのノルウェー舞曲 op.35
 チャイコフスキー:交響曲第4番へ短調 op.36

普段とは違う。オーケストラの音に奥行きがある。大指揮者というのは、客演でも違うんだ。チャイコフスキーもさることながら、前半のグリーグが素晴らしいものだった。なかでも、冒頭の叙情的組曲。音の繊細さとダイナミックス、テンポの自在さ。あれれ、こんなふうにやると、ほんと、音楽の息づかいが聞こえる。冷たいビールで喉を潤した直後だから、前半プログラムでは居眠りが出ても不思議じゃないんだけど、とても、とても。

この人を指揮台に迎えて、京都市響のメンバーが緊張しているかと言えば、そんなふうには見えない。それどころか、指揮者に正対する第二ヴァイオリンや木管の女性奏者なんて吹き出しそうになっている。正面二階席なので確認はできないが、きっと百面相なのだろう。それでいて、ヤルヴィの肘や肩のわずかな動きにさえ敏感に反応するオーケストラは見ていてスリリング。これは、これは…

きっとこの指揮者にはオーケストラをその気にさせてしまう魅力・胆力があるのだろう。そういうことが客席にいても伝わってくるのだから。いやはや。

チャイコフスキーはグリーグに比べれば驚きは少なかったが、それでも面白い。引きずるようなリズムを強調して泥臭さを出すところと、品よく音楽を流すところとが交錯、すっきりと粘る感じ。バラバラのようでいて、不思議なまとまりがある。それと、この人は各パートをしっかり聴かせる。面白くって。

前半・後半ともアンコール付きとは定期演奏会では珍しいものだ。休憩前は前半プログラムの一部を。本編よりずっとくだけた演奏で、指揮者もオーケストラもいかにも楽しそう。最後には、「後宮からの逃走」序曲、本編プログラムに組み込んだらいいほどの充実度だった。

過去、パーヴォ、クリスチャンという息子たちを、大阪フィルの定期演奏会で聴いているが、後から聴いたおとうちゃんネーメ、さすがだ。

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