ジュリアーノ・カルミニョーラ ~ 伊達男にやきもち
2007/1/28

予定はしていなかったが、ひょんなことから出かけた。「いいぞ、いいぞ」という声はずいぶん耳に入っていたし、追っかけをしている人も何人か知っている。2005年、ヴェニス・バロック・オーケストラで聴いた「アンドロメダ・リベラータ」、そのときのソリストがこの人だったはずだが、私は歌に気をとられて、ヴァイオリンの印象はあまり残っていない。でも、今回は、モーツァルトとベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ、じっくり、観て、聴いて。

ヴァイオリン:ジュリアーノ・カルミニョーラ
 フォルテピアノ:矢野泰世
 モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第36番変ホ長調K.380
 ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第4番イ短調op.23
 モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第28番ホ短調K.304
 ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調op.24「春」
 モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ変ロ長調よりロンド
 ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第8番〜アレグロ・ヴィヴァーチェ
 モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第24番ハ長調〜アンダンテ・ソステヌート
 モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第24番ハ長調〜アレグロ・ヴィヴァーチェ

チラシに、「変幻自在」、「大胆不敵」、「自由奔放」、「音楽至上主義」なんて文字が躍っている。極め付けは「ヴェニスのカサノバ」だって。なんじゃ、こりゃ。客席のおばさま率が高いというか、女性の多さ。そりゃあ、美音とテクニックに加え、細身のダンディ、モテないはずがない。と、男の私としては嫉妬してしまう。

普段はほとんど聴かない室内楽、しかもあまり好きでもないモーツァルトにベートーヴェン、でも充分楽しめた。それにしても、難儀な楽器のようだ。楽章の切れ目には必ず調律、相当に強く弾かないと豊かに響かない。古楽器というのはこういうものか。それで、高性能のモダン楽器と同じように演奏するのだから、大変さがわかる。何も無理しなくてもと思えるが、それはそれで古雅な音を愛でるべきなんだろう。

演奏はプログラムの進行とともに、どんどんノッてくる感じ。前半よりも後半、さらに特別大サービスの4曲のアンコール、満員の兵庫芸術文化センターの小ホール、擂り鉢状に舞台を囲む400人の聴衆の集中度もどんどん高まる感じ。鼻息まで聞こえる距離での二人の熱演だ。あまり客層がよくない(所得は高いかも知れないがマナーが悪い)西宮の聴衆なのに、この日は「音楽至上主義」に相応しい様子。日曜の夕方という中途半端な時間のコンサートだけど、撥ねてから西北でゆっくり飲んだお酒の美味しかったこと。

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