クラウス・ペーター・フロール/大阪フィル定期 ~ 大植英次に代わり
2007/2/22

一週間ほど前に連絡があった。2月の定期演奏会でマーラーの第9交響曲が予定されていて楽しみにしていたのだが、大植さんが首を痛めて入院という知らせ。指揮者もプログラムも変更ということに。大植さんの病状はつまびらかではないが、これは指揮者の職業病か。岩城宏之さんもそうだったし、大野和士さんもそうだった。早い回復を祈りたいものだ。

指揮:クラウス・ペーター・フロール
 モーツァルト:交響曲第40番ト短調K550
 チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調「悲愴」 作品74

とてもユニークなチャイコフスキーだ。この曲、2年前に急遽開催された「スマトラ島沖大地震チャリティコンサート」のメインプログラムだった。もちろん、指揮は音楽監督、でも大植さんが帯同したソリスト(ヒラリー・ハーン)に注目が集まったせいもあるが、「悲愴」交響曲はどちらかと言えば凡庸な演奏だった。その曲が、クラウス・ペーター・フロールの指揮の下、全く別の曲のように聞こえる。

ひと言でいうなら独特のフレージング、メロディの最初の部分を強調することが多く、メリハリが効いている。それと、テンポの速さ。例えば第1楽章の展開部の猛烈なスピード、第3楽章のクライマックスを量感ではなくて、疾走感で作るあたり。第4楽章との対比感を際立たせる。プログラム前半のモーツァルトでは睡魔に襲われたのに、一転、チャイコフスキーの面白さ。この指揮者、この曲を得意にしているようだが、それだけのことはある。情緒連綿と粘ることはせず、一気呵成にシンフォニックな音響体、運動体として聴かせるチャイコフスキーだ。

今回聴けなかったマーラーをこの人がやったらどうなったんだろう。音楽監督の場合はだいたいの想像がつきそうだが、クラウス・ペーター・フロールだと予想外の展開になりそうで…

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