秋山和慶/大阪フィル定期の英国プロ ~ 炸裂!大フィルサウンド
2007/3/29

新年度の更新をしなかったので、定期会員としては最後のコンサートとなる。東京行きの直前からの風邪がすっきりせず、やめようかと思ったものの、とりあえず福島に向かった。

エルガー:チェロ協奏曲ホ短調作品85
 ホルスト:組曲「惑星」
 指揮:秋山和慶
 独奏:ジャン・ワン
 女声合唱:ザ・カレッジ・オペラハウス合唱団

秋山さん、いくつになってもキレのいい指揮ぶりだ。曲目自体は期待していなかったが、引き締まったアンサンブルと豊麗な響き、ただの器で楽器とは言えない錦糸町のホールとは大違い。もちろん、今回の大阪フィルの力演にも負うところが大だ。これで、せめてリヒャルト・シュトラウスあたりを採り上げてもらえば言うことはなかったのに、エルガー、ホルストでは、ソリストも含めこの顔ぶれがもったいない。

どちらも、曲はつまらないけど、演奏はというパターンだった。ジャン・ワンというチェリストの腕前は凄い。音がピタリと決まる気持ちよさ、全く破綻のないテクニック、響きの充実と繊細さ。逸材であることは間違いない。なので、プログラムよりもアンコールのソロ二曲のほうが、ずっと聴き応えあり。

「惑星」は安手のハリウッド映画音楽みたいな曲という固定観念が私にはあって、会員になっている定期演奏会でなければ足を運ぶことはなかっただろう。でも、巨大な編成のオーケストラを眺めているのは楽しいものだ。秋山さんの棒のもと、響きは全く濁らないし、バランスも素晴らしく、メリハリもある。それだけに、最終曲で舞台裏から聞こえるコーラスがのっぺりとしたもので、もう少し何とかならないかと思うほどヘタクソだったのが残念だ。

結果的に英国週間となった年度末。何となく、あちこちからの略奪品を別にすれば自国のめぼしいものが見あたらない大英博物館をふと連想してしまった。

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