井上道義/大阪フィル定期 ~ Rhapsody x 5
2007/5/30

ずいぶん久しぶりのコンサートのような気がする。ひとつパスしたのがあったけど、まあ1か月ぶりだから、大したことはない。首都圏まで目を向けても、5月にしては興味をそそるようなものがなかったのは淋しいところだ。その点、今回の大阪フィルの定期はヘンなプログラムで、面白そうというのが事前予想。そして、なかなか楽しめた。

伊福部昭:日本狂詩曲
 リスト:ハンガリー狂詩曲第2番
 エネスコ:ルーマニア狂詩曲第1番イ長調
 ディーリアス:ブリッグの定期市~イギリス狂詩曲
 ラヴェル:スペイン狂詩曲

前半3曲、後半2曲、きっと外山雄三作品がアンコールに予定されていて、ラプソディーx5+1、邦人作品を両端に置くという仕掛けかなと思ったら、アンコールはなくて、ラヴェルで終わってしまった。まあ、定期演奏会だし。

こういうユニークなプログラムを組む人は若杉さんか井上さんというのが通り相場で、後者の登場。
 前半の3曲の出来映えが、よかった。後半はオーケストラもやや雑な感じがしたのは残念。

ずいぶんエキストラも入っていたようで、「日本狂詩曲」は舞台いっぱいのオーケストラ、そして曲も面白い。ゴジラ松井ならぬゴジラ伊福部の真骨頂、ほんと骨太のリズムと力感だ。オーケストラが爆発するところだけじゃなく、緩やかな曲想のところでも、この人の作品には力強さの刻印があるのが不思議。すぐそれとわかる個性がある。

続く東欧系の2曲は、それらしい憂愁と粘りのある演奏。増強された弦セクションの響きも厚く、大阪フィルらしいサウンドが展開。逆に後半の2曲は肩すかしを食ったような感があり、物足りなさが残った。

プログラム終了後、アンコールかと思ったら、「僕も大フィルも60歳…」とか、舞台からスピーチが始まる。井上さん、以前、大阪フィルの定期で採り上げたショスタコーヴィチの第4交響曲のことを枕に、「ちょっと宣伝しちゃいました」と、この秋の「日露友好ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクト」に言及。場所はこの作曲家の多くのシンフォニーが本邦初演された日比谷公会堂、井上さんが日露の5つのオーケストラを振って一挙に15曲を演奏するとのこと。さすがに弦楽四重奏曲のように一日ということではなく、約1か月をかけてということらしい。東京にいたなら通ってもいいんだけど…

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