ナッセン/大阪フィル定期 ~ 指揮台の作曲家、いまやアナクロか
2007/10/19

定期会員のときは初日だったが、安い一回券に転向したので今回は二日目の鑑賞。金曜日なのでプログラム内容にしては客席の入りはまずまでというところか。買ってしまったので仕方ないけど、雨が降ると福島駅からザ・シンフォニーホールに向かうのが億劫になる。

ナッセン:花火で華やかに 作品22
 ブロッホ:ヘブライ狂詩曲「ソロモン」
 ナッセン:ヤンダー城への道 作品21a
 ブリテン:鎮魂交響曲 作品20
 指揮:オリヴァー・ナッセン
 独奏:アンシ・カルトゥネン(チェロ)

シーズンプログラムからオペラが消えてしまい淋しいものがあるが、オリヴァー・ナッセンの名前が発表されたとき、ひょっとして自作オペラの上演があるのではと微かな期待があった。短い作品だから定期演奏会の枠内に充分に収まるしと。

蓋を開けたら、もっと短く、自作オペラからの10分足らずのオーケストラピース(ヤンダー城への道)があるだけ。今回のラインアップは、4分、25分、8分、20分ということなので、合計一時間にも満たない。なんだか朝比奈翁の最晩年のよう。

それもそのはず、舞台に登場したナッセン氏、巨漢というよりも超肥満、メタボ(大阪では"マクド"と同じリズム・音程で発音する)どころじゃない。これじゃスタミナに問題がありそう。

ナッセンの二曲はとても短くて、あっさり終わってしまう。短いなかに凝縮されているとプログラムの解説にはあるが、そう聴けばそうなのかなという程度。特に二曲目はオペラの舞台とセットで観てみないと、これだけじゃなんとも言えない。

ナッセンの間に挟まったブロッホの作品、チェロのソロが入るコンチェルト風の曲。ユダヤの音楽のイディオム満載ということだが、どうもピンと来ないし面白くもない。メンデルスゾーンやマーラーの例を出すまでもなく、正統(?)ヨーロッパ音楽とのコンフリクトがあってこそのアイデンティティーかとも思える。もっとも、それは、わが同胞にも言えることかも。

ブリテンの「鎮魂交響曲」、リヒャルト・シュトラウスの「日本の皇紀二千六百年に寄せる祝典曲」などと並ぶ因縁の作品。非キリスト国からの委嘱作品にキリスト教の祈祷の文言を書き込むなんて、大人げない行為だと思うし、日本政府にしても、そもそもそんな英国人作曲家に委嘱しなければいいわけだ。そんな周辺事情はさておき、シュトラウスもそうだけど、この時の委嘱作品は後世に残りそうもないように思える。今なら税金の無駄遣いとの批判が起きても不思議じゃない。

どうも低調な定期演奏会になってしまった。現役の作曲家を招聘し指揮台に立たせて、ただそれだけのこと、聴くものに何らかのインパクトがあったかとなると…

ジャンルのトップメニューに戻る
inserted by FC2 system