東京都響の武満&ベリオ ~ さすがに首都
2008/1/18

金曜日の夕方、何とか間に合いそうな時間に仕事が終わったので、上野に向かう。当日券を買って武満&ベリオ。正月を夾んでしばらくコンサートから足が遠のいていたが、新年の聴き初めに相応しいのかどうか、微妙な演目だ。せっかく東京にいる夜なのにオペラがなくて淋しいけど、いちおう声楽曲もあることだし。

武満徹:弦楽のためのレクイエム
 武満徹:アステリズム
   ピアノ:小川典子
 武満徹:系図―若い人のための音楽詩
   アコーディオン:御喜美江
   語り:水谷妃里
 ベリオ:シンフォニア
   声楽アンサンブル:二期会マイスタージンガー
   指揮:沼尻竜典
   管弦楽:東京都交響楽団

武満作品はレクイエムは聴いたことがあるものの、他の二作は初めて。三曲並べると、それぞれ全く個性が違う。その対比もなかなか面白く聴けた。

レクイエムの静謐、アステリズムの凶暴、系図の憧憬といった感じだろうか。あくまでも私が音から受けた印象だ。武満は何度か聴いたレクイエムのイメージが強くて、初めて聴いた他の二曲はちょっと意外な感じ。まあ、あれだけ名をなした人だけに、表現の幅は広いのが当たり前だけど。

面白さで言えば二曲目のアステリズム、耳に突き刺さる硬質な音響に溢れていて、その上に各パートが無茶苦茶に弾いているんじゃないかと思うのに、存外に不快でもない不思議なサウンド、一度聴いたら忘れられないような曲だ。

語りの入る三曲目は、「大地の歌」の終曲となんだか通じるような感じ、プログラム後半のベリオは第2交響曲を徹底的に引用しているから、そんなところで前後半のプログラムが繋がっているような。

ベリオは京都のお寺巡りをかねたセクエンツァ連続演奏というイベントに参加して以来のこと。なんだ、そんなに怪しくないぞ。マーラーのパロディなんて、とっても面白い。オペラにおけるワーグナーのように、ショスタコーヴィチの例を出すまでもなく、この作曲家の後の交響作品への影響の大きさを感じます。でも、声楽曲かと思ったら、こりゃあ歌なんかじゃないや。楽器のひとつ。何を言っているのか、全く不明。初演者がスウィングル・シンガーズということを知っていたら、そういうもんだと思って聴けたんだけど。

しかし、さすが東京。このプログラムで東京文化会館の7割近い入りとは。大阪なら、そもそも公演の企画自体が成立しないだろう。沼尻氏は来月にもびわ湖ホールで「ばらの騎士」を聴く予定だが、現代ものとオーソドックスなレパートリーをやるときの落差が大きいようにこれまで感じている。今回のような作品だと、彼の良さが出るように思うが、メインストリームの作品ではあまり閃きを感じないことがこれまで多くて…

ジャンルのトップメニューに戻る
inserted by FC2 system