「近代音楽へのアプローチ」@いずみホール ~ シリーズの終わり
2008/2/8

通し券を買っていた4回シリーズもこれが最終回、それとともに、大山平一郎氏もこれで退任。面白いプログラムで楽しませてもらったのに、いずみホールのシリーズの次はなさそうだ。意外と言っては何だが、それなりの動員も果たしただけに残念なところ。

コープランド:バレエ音楽「アパラチアの春」(オリジナル小管弦楽版)
 ミヨー:バレエ音楽「世界の創造」
 プーランク:シンフォニエッタ
 ディーリアス:「2つの水彩画」より第1曲
   指揮:大山平一郎(ミュージックアドバイザー・首席指揮者)
   大阪シンフォニカー交響楽団

普段の演奏会では採り上げない演目が並んだこのシリーズ、毎回、2時間のプログラムのなかでは曲による出来不出来、言い換えれば練習量の多寡が、素人耳にも判かってしまうのが今ひとつではあった。その点では、この最終回が一番凸凹がなかったのではないかな。

プログラム前半が見劣りするのがパターンだったが、その傾向はこの日も。楽器編成が小さいほど、アンサンブルの不満がこのオーケストラには現れる。「アパラチアの春」、各奏者はきちんと演奏しているのだろうが、アンサンブルの面白さが伝わってこないし、リズムが重くもっさりとした印象が残る。

「世界の創造」とは、気宇壮大なタイトルで、どんな音が響くのだろうと思ったら、なんだ、ただのシンフォニック・ジャズではないか。でも、面白い。「ラプソディ・イン・ブルー」の少し前に書かれた曲のよう。ほんとに雰囲気がよく似ている。少し編成がふくらんだオーケストラ、こちらの方はずいぶんノッてきた。

休憩後のプーランクのシンフォニエッタ、フルオーケストラになり、これは練習も十分なようで、コープランドからは想像もできない緊密なアンサンブル。聴いたことのない作品だが、第二楽章がチャイコフスキーそっくりなのに苦笑(「悲愴」交響曲の第三楽章)。途中からあのマーチの主題が登場してきても全く違和感がない感じ。これはパロディのつもりなんだろうか。それにしては、しゃれっ気を感じるよりも、なんだか剽窃くさいイメージがある。チャイコフスキーのようなカタルシスがないのがその理由かな。まあ、演奏としては十分楽しめたけど。

このシリーズでは初めてアンコールが演奏された。大山さんとしても、締めくくりの気持ちがあったんだろうと思う。

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