エッティンガー/東京フィル定期 ~ これは瀬踏み?
2008/6/15

栃木から青森に向かう出張が決まって、東京の演奏会情報をチェック。この週末には「ブルスキーノ氏」という目をひく演目があったが、ずいぶん悩んだ末にパス。伴奏など本格的な上演ではないし、驚くような才能に巡り会えるのかどうかも不明だし。船堀で日曜の夜というのは限りなくギャンブルの世界、地震の影響で東北新幹線はいつ止まるかも知れないなかで、週の初めの仕事に尾を引くのは困る。この公演が掘り出し物だったかどうか、聞いてみたいような、そうでもないような。

それで、東京で出かけたのは無難な選択、オーチャードホールでの東京フィルの定期演奏会。

ワーグナー:「タンホイザー」より序曲
 シューベルト(リスト編):さすらい人幻想曲
 シューベルト:交響曲第8(9)番「ザ・グレイト」
   ピアノ:小川典子
   指揮:ダン・エッティンガー

この若い指揮者、来年の新国立劇場では「ニーベルンクの指輪」再演のピットに入ることが決まっている。この演出では「ラインの黄金」を見逃しているので、是非行きたいところ。そんなに好きでもないシューベルトだけど、ワーグナーの瀬踏みとを兼ねて。でも、後から気がついたのは、以前「ファルスタッフ」で聴いたことがあったんだ。そのときの印象が残っていないし、書いたものを読み返してみたら、大変に悪い評価を下している。嫌なことは早く忘れたいということか。

それで、この日の演奏会、残念ながら劇場での期待が高まるということにはならない。もやあっとしたワーグナーを聴かされるとねえ。どうも劇場の人ではないような、オーケストラの指揮者なんだろうか。舞台や歌い手そっちのけの独りよがりのピットは願い下げなんだが。

シューベルトのほうが、ずっと生気のある演奏だった。小川典子さんのソロが入る「さすらい人幻想曲」のリズムがはずむ感覚があったし、何度聞いても退屈な大交響曲も、最後まで飽きさせずに聴かせてくれたのだから。

他に人がいないのかとも思うが、あんまり聴く前に云々してもしょうがない。期待値が低ければ満足度も高くなるということだし。

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