ペンデレツキ/大阪センチュリー交響楽団 ~ 半分だけのプログラム
2008/6/30

橋下知事の大阪府のリストラ策ですったもんだした大阪センチュリー交響楽団、来年度からの補助金縮減と、府民のオーケストラとして再構築することを条件に存続という一応の決着をみたようだが、苦難の道は続きそうだ。来年度に欧州ツアーを予定していたことも知らなかったが、中止は当然だろう。なあんだ、オーケストラの財政問題は以前から明らかだったのに、やっぱり考えが甘かったんだなあ。招待されて行くならともかく、府民税を使って渡航では理屈の立ちようもない。

ペンデレツキ:弦楽のための小交響曲
 ペンデレツキ:ホルン協奏曲
 メンデルスゾーン:交響曲第3番イ短調「スコットランド」
   クシシュトフ・ペンデレツキ
   ラドヴァン・ヴラトコヴィチ(ホルン)

珍しい演目が並ぶ今期のラインアップの中でも、作曲者の自演という今回の定期演奏会は異色のもの。どんな曲が聴けるのか楽しみに出かけた。

弦楽のための小交響曲、いきなり、ザッザッザッという不気味な合奏とソロが交互に繰り返される特徴的な出だし、そんなに長くない二楽章の作品、緩急、強弱の対比も面白く、あちこちで演奏機会が増えているというのも納得できる。

もう一つのホルン協奏曲、「冬の旅」という表題が付けられているそうだが、シューベルトのそれとは無関係、曲想から連想するという感じでもない。ラドヴァン・ヴラトコヴィチというソリスト、チラシの写真とイメージが違うので戸惑い(女性の場合は往々にしてあることだけど)。

渋い音色を出す人だ。きっと難しいテクニックを必要とする曲なんだろうが、あまりそれを感じさせない。今年出来たてのホヤホヤの作品にしては、古典的な感じさえするところがある。この曲も最初の弦楽作品と同じく二楽章で短め、巨大化の時代ではないし、それぐらいが丁度いい。

それで、プログラム後半のスコットランド交響曲、なんでこういう組合せか理由はわからないが、オマケというか、全編ペンデレツキでは客が入らないという営業的な配慮かなと想像する。ただ、オーケストラにとって初めての作品に時間と精力を使い果たしたことが歴然。二階最後列の通路脇座席であったのが幸い、さっさと帰って家でビールでも飲んだほうがいいやと、第一楽章の途中で退出した。長くコンサートに通っていますが、こんなことは初めてのことだ。

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