カレッジオペラハウス「真夏の夜の夢」 ~ レアもの、満員
2008/10/13

久しぶりに阪急庄内駅に降り立つ。駅の東側には大阪で一番物価が安いと言われる豊南市場がある庶民の街、オペラハウスに向かう西側は休日ということもあり、シャッターの閉まった店が多く以前に比べると活気がないのが気になるところ。同じくオペラハウスでも、大津と豊中ではずいぶん雰囲気が違う。三連休、連日の劇場通いとなる。

あれれ、当日券を求めて並んでいる人もいる。どうも完売の模様。中に入れば座席後方にはパイプ椅子が並べられている。いくら在校生は格安といっても20世紀作品では珍しいこと。

オベロン:田中友輝子
 タイタニア:中西麻貴
 パック:中西麻梨
 スィーシアス:藤村匡人
 ヒポリタ:井川裕子
 ライサンダー:諏訪部匡司
 デメトリアス:青木耕平
 ハーミア:児玉祐子
 ヘレナ:石橋栄実
 ボトム:西田昭広
 フルート:松岡重親
 ザ・カレッジ・オペラハウス合唱団
 ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団
 指揮:チャン・ユンスン
 演出:中村敬一

全三幕、休憩を含むと三時間を超える、ブリテンにしては大規模な作品だ。舞台を観るのも聴くのも初めて。

妖精たちの世界、二組の恋人たちの世界、職人たちの世界、三グループに分かれた登場人物が織りなすお話で、相互の交流はあるにしても最初はほとんどパラレルに交互に進んでいくので、第1幕、第2幕は頻繁な場面転換でブツ切りの様相。なんだか冗長感もあって集中できない。退屈したところと、面白かったところとがまだら模様という感じ。

妖精の王妃役タイタニアを歌った中西麻貴さんと、ロバ男ボトムを演じた西田昭広さんが素晴らしい出来、言葉の明瞭さと響きの豊かさを両立させた歌唱で、多くの登場人物の中で一頭地を抜くという印象だった。中西さん、西田さんが出る場面になると舞台が精彩を放つ。

その他のキャストは頑張っていたものの最高というレベルではない。お気に入りの石橋栄実さんも期待した割にはという感じ。四人の恋人たちのグループの人たちは、どうも肩に力の入ったゆとりのない歌で、自然な伸びやかに欠けていてあまり楽しめない。

舞台中央に置かれた装置が回り、照明の変化と相まって場面転換を行うという趣向だが、それも退屈さの原因かも。そりゃ予算の問題もあるから仕方ないけど。第3幕になって結婚式と職人たちの余興の舞台になると、賑やかで楽しい雰囲気になる。ここの田舎芝居は結構笑わせる。音楽的にもパロディ全開、気付いただけでも、ルチア狂乱の場とか、レニングラード交響曲とか。どうして、ここでショスタコーヴィチなのか不明だが、ブリテンの作曲年代が1960年ということだから、20年ほど前の第7交響曲の引用があっても時代的には不思議じゃない。

最後の第3幕が楽しめたので、よい気分でオペラハウスを後にすることができた。All's well that endsってとこかな。

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