ドミトリー・リス/大阪フィル定期 ~ 残念ながら、京都の勝ち
2008/10/16

真夏の京都市交響楽団の定期演奏会で聴いたばかりのショスタコーヴィチの第8交響曲、さて大阪フィルでは、ドミトリー・リスという指揮者が、どんな演奏を聴かせてくれるのか、興味津々で臨んだが見事にハズレ。京都の圧勝と言ってもいい。

ショスタコーヴィチを単純に楽譜をなぞって、あるがままの音響で再現したら、いかに空疎な音楽になるかを示してくれた演奏という見方もできる。指揮者の表現意欲というものをほとんど感じない一時間だった。オーケストラの馬なりという感じか。

きちんと拍子をとって、テンポを設定して、最低限の指揮者の役割をそつなく(と言うか、かなり上手く)こなしている人だし、それ故にオーケストラの破綻もないし、各パートもいい音を出してはいる。だけど…

変な曲とは言え、音響のサーカスだけのものではないはずだし、それ以上のものを引き出すことは可能なはず。延々と続く単調で平板な第1楽章の序奏、それを補強するつもりなのか、自身の奇妙なうなり声、ニュアンスもへったくれもない第3楽章のヒュー・ドカンの繰り返し、辟易とするところが随所に出現して、勘弁してほしい気持ちになる。それがこの人の狙いということかしら。沼尻竜典さんを私はそんなに評価している訳じゃないけど、こういう聴き比べをしてしまうと、ずいぶんと差があるなあと感じる。

指揮:ドミトリー・リス
 独奏:ダン・タイ・ソン(Pf)
 リャードフ:交響詩「ババ・ヤガー」作品56
 ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲作品43
 ショスタコーヴィチ:交響曲第8番ハ短調作品65

前半の二曲も、印象としては大差ない。颯爽と駆ける演奏、別の表現をすれば、軽薄で素っ気ない演奏。これがいいと言う人もいるとは思うけど、私はもう結構。

プログラムをパラパラとめくっていたら、11月の定期演奏会が完売につきリハーサルを公開するという告知があった。1階後方の500席ほどをチケットを買えなかったファンのためにというのは結構にしても、2000円というのには呆れた。友人に譲った私の本公演のチケットの倍の値段ではないか。貧すれば鈍するとは言い過ぎかも知れないが、なんかヘン。

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