首都オペラ「フランチェスカ・ダ・リミニ」 ~ ニッチを埋める?
2010/9/4

これは見逃すと今度いつ観られるかわからないオペラだしと、土曜日は横浜へ。長いオペラ、その前にお腹が一杯になっては危険ということも判っているのに、つい食い意地には逆らえず、開演前には行きつけの中華街某店に。絶妙に冷えたビールの旨さでますます危険の度合いが増す。

ザンドナーイ:「フランチェスカ・ダ・リミニ」
 フランチェスカ:小林厚子
 サマリターナ:背戸裕子
 オスタージオ:矢田部一弘
 ジョヴァンニ:月野進
 パオロ:所谷直生
 マラテスティーノ:井上剛
 ビアンコフィオーレ:渡辺都
 ガルセンダ:沖山周子
 アルティキアーラ:岸田総子
 アドネッラ:安念奈津
 ズマラーグディ:鈴木美恵子
 トルド・ベラルデンコ卿:三浦大喜
 道化師:上田飛鳥
 弓矢兵:岡村一樹
 番兵:相澤圭介
 首都オペラ合唱団
 慶應義塾ワグネル・ソサイエティー男声合唱団OB有志
 慶應義塾大学日本女子大学混声合唱団
 コールメロディオン有志
 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
 指揮:岩村力
 演出:三浦安浩

首都オペラ、もう19回公演ということである。旗揚げ公演はじめ何度かこの団体の公演を聴いているが、他ではやらない風変わりな演目が目立つ。レアものと言うほどではない「運命の力」のときも、変わった版を使っていたことを思い出す。頑張っているのはよく判るが、国内のトップ水準とは懸隔があるのも事実だ。それもあってか、他所でやらない演目ということなのか。そして日本初演の登場、そりゃそうだ、ありきたりの演目で同じか少し多くの集客があったとしても、あまり意味がない。首都と冠するぐらいだから、これぐらい意気軒昂でなければ存在価値がない。ところが…

「出来そこないのヴェリズモオペラ」と、初めて聴いた人間が言うのは不遜かも知れないが、正直な感想である。この亜熱帯を思わせる季節に正味3時間近い暑苦しいオペラを聴くのは疲れる。ドラマと音楽、息つく間もない激烈なオペラと付き合えるのはせいぜい2時間、ヴェリズモの傑作が一幕ものというのには訳がある気がする。

この日の歌い手たちは、とても張り切っていてハイテンションである。でも、力を適当に抜くところがないと、聴くほうは楽しめない。緊張と弛緩、爆発と沈静、そのメリハリがほしい。音楽そのものの書かれ方によるところが大きいとは思うが、再現する側のハンドリングによって何とでもなる部分はあるだろうし、そうしてこそ、音楽作品としての味わいも出てくるはずだ。日本初演ということで力が入りっぱなしという印象がある。岩村力指揮の神奈川フィルの熱演が、良くも悪くもこの傾向を助長した感がある。

歌い手で印象に残ったのはパオロ役の所谷直生さんぐらい。他の歌手も熱演であるが、声楽的な面での好感度は高くない。幕開き直後の道化師と女たちのアンサンブルで出鼻を挫かれたことが尾を引いたのかも知れない。主役が登場する前の脇役たちは重要である。その良し悪しがオペラにすうっと入っていけるかどうかの分かれ目、もちろん、真打ち登場でチャラになることもあるが、そこまでの力を持つ人を揃えている訳ではないので、いっそうキャストのバランスが大切だと思う。

あまり注目されていない公演だったのか、客席の入りは良くない。舞台装置にもけっこうお金をかけている感じもあり、頑張っているのはよく判るのだが、意欲が結果に結びつかないもどかしさがある。この団体の公演をまた聴きに来るかどうか、かなり微妙なところである。

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