ウェン=シン・ヤンのショスタコーヴィチ「チェロ協奏曲第1番」 ~ 七夕に名手
2011/7/7

年に一度の逢瀬が生憎の雨、そもそも梅雨のさなかに好天の可能性からして低いが、気の毒なカップルのことはさておき小雨模様のシンフォニーホールへ。ロシア、じゃなかった、これは生粋のソ連プログラムだ。

ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番変ホ長調作品107
 プロコフィエフ:交響曲第5番変ロ長調作品100
   チェロ:ウェン=シン・ヤン
   管弦楽:日本センチュリー交響楽団
   指揮:小泉和裕

このプログラムにしたら、そこそこの入りというところか、7割方は埋まっていたのではないかな。中国(台湾)人だがスイス生まれ、長身、四角い顔に度の強そうな四角い眼鏡、まるでオットー・クレンペラーのような風貌だが、あんな怖そうな感じはなく人柄は柔和そう。コンチェルトが終わった後に、震災の犠牲者を悼むメッセージを述べてソロのアンコールに応える姿に、その感を強くする。

力強くも優しく美しい音を出すチェロだ。とても好感が持てる。第三楽章に当てられたカデンツァの前半と後半の対比の妙、滋味あふれる歌と爽快な運動性の両立、テクニックの向こうにある音楽を伝えるということでこの人のチェロは素晴らしい。

面白いもので、弾き進むにつれてオーケストラがだんだん締まってくる。これはソリストの発するオーラの伝播かと非科学的なことを思ってしまう。第一楽章はオーケストラのパートのバランスがあまり良くなく、せっかくのチェロ独奏に気の毒という印象が強かったが、第二楽章あたりからソロに寄り添って来て、カデンツァを挟んだ終楽章は初めとは打ってかわったアンサンブルとなった。金管セクションがなくホルンが一本だけという編成、お世辞にも見事とは言い難い演奏で、コンチェルトの足を引っぱりそうでヒヤヒヤしたが、終わってみればそんなことも忘れた。素敵なチェロのおかげで終わりよければとなったのが幸い。夏バテ気味のこともあり、後半のシンフォニーは聴かずにホールを後にする。

            * * *

もう2011年も折り返しを過ぎた。あんなことがあって何もかも様変わりした気がするが、変わらずに音楽を聴ける喜びを感じる。アーティストの来日取りやめによる公演中止にも遭遇した。まさか踏み絵ではないものの、来てくれた人、来なかった人、交々である。根っこのところでの問題の解消が見えない状況で、下半期はどうなるのだろう。

秋には大きなオペラ公演もあるし、苦労して確保したチケットがどうなるかが気になる。そんなこともあって、オペラに関して今後の日程を整理してみた。9月10月のカレンダーは一杯である。意外に今月も多く、西宮と大津には足を運ぶつもりだ。

これまで、まとまったスケジュール表はネット上にあるカレンダーも参照していたが、私の住む関西地区の情報がほとんどない。管理人さんに文句を言う筋合いでもないし自分で作ってみた。何人かの友だちに見せたら思いのほか好評、ついでにいっそGoogleカレンダーに移行して公開したらとそそのかされ、豚も煽てりゃ木に登るの謂い、Excelからのコンバートまで完了。

こういうものは一人ではなかなかメンテナンスに手が回らないので、Googleカレンダーの変更権限を煽動者にも付与して、東西の更新体制は整った。当ホームページの右フレームのバナーからのリンクが可能で、閲覧は誰でも可能。GmailのIDを持つ人なら自分のカレンダーとして取り込み(インポート)が可能である。ボランティアによる公共財として提供するもので、著作権などはない。

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