堀米/スダーンのPAC定期 ~ バランスの妙
2013/2/24

休日は近鉄の三宮行き快速急行が今津に停車する。それで今津乗り換えで西宮北口というルートにしたものの、やはり梅田まで行って阪急電車のほうが速いようだ。開演ギリギリの到着となってしまった。

アンコール曲が4曲もある定期演奏会も珍しい。本来のプログラムはコンチェルトとシンフォニー、まあそれだけだと1時間ちょっとで終わってしまうから、サービスということかな。やや地味系のプログラムだけど、相変わらず満員である。

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調op.77
 バッハ:無伴奏ソナタ第1番よりアルマンド
 バッハ:無伴奏パルティータ第3番よりガボット
 シューベルト:交響曲第4番ハ短調D.417 「悲劇的」
 ワーグナー:ヴェーゼンドンク歌曲集第5曲「夢」
 シューベルト:劇付随音楽「ロザムンデ」間奏曲第5番
  ヴァイオリン:堀米ゆず子
  指揮:ユベール・スダーン
  管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団

ユベール・スダーン氏は初めて、東京交響楽団ともう長くなっているけど聴く機会がなかった。かのオーケストラの音楽監督の退任は既に決まっている。ソリストの堀米ゆず子さんもサイトウキネンのメンバーでは聴いているかも知れないが、ソリストとしては初めて聴く。フランクフルトの税関で脱税容疑で物議を醸したグァルネリ・デル・ジェスというのはどんな音がするのやら。

堀米さんのヴァイオリンはずいぶん地味な感じがする。ブラームスはもともとそうだが、派手さのない演奏という印象だ。室内楽に重点的に取り組んでいるというのが何となく頷けるような感じ。スダーン氏との相性は悪くはなさそう。ということはスダーン氏の演奏も地味ということなのか。

後半のシューベルトのシンフォニー、こちらでもその印象は変わらない。「悲劇的」というタイトルの割にはちっとも悲劇的じゃない曲想に思えるが、シューベルトだから大仰に悲しむということにはならないのだろう。結構ダイナミックにテンポを変えながら進む音楽は繊細さよりも骨太感が前面に出たような演奏だ。前半のブラームスと親和性がある組み合わせとみた。

渋すぎるプログラムのせいもあるのか、オマケの曲は親しみやすいものを並べてバランスをとった感じか。コンサートミストレスの四方恭子さんのソロが入るワーグナーは生誕200年、記念の年ということで組み込んだもののよう。こういう風にプログラムのバランスをとるのがPAC大入りの要因のひとつかなと思ったりする。

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