フェドセーエフ/PACの第4交響曲x2 ~ 若い81歳
2014/3/23

コンサートのチケットが先か、酒蔵ハイキングが先か微妙なところだが、人気公演の安い席をオークションで見つけ、後付で「白鶴」を組み合わせたというのが本当のところ。10:30~11:00生田神社境内に集合というから、15:00の開演にちょうどいいタイミングだ。花粉は気になるけどマスク着用でいそいそと。

生田神社 処女塚古墳 神戸酒心館 白鶴酒造 菊正宗酒造記念館 六甲ライナー

三宮から旧西国街道を辿って灘の酒蔵に向かうといっても所詮は神戸の街中、自然の中のハイキングではない。スタートこそ大勢に混じって歩き出したが中抜きを企てる。阪神岩屋駅から新在家まで電車でショートカット、こういうのもキセルというのかなあ。これで1時間あまりの節約、新在家駅前の天麩羅屋で昼ご飯、店に入ったときには空席があったのに、出るときには表に列ができていた。安くて美味いということか。

ここからは真面目にウォーキングで処女塚古墳、神戸酒心館、白鶴、菊正宗というルート。メインは白鶴だけど、前後に福寿、菊正宗があるので灘の酒蔵のハシゴという感じ。それぞれで利き酒があるのが嬉しい。コンサートまで時間の余裕があったので六甲ライナーの全線完乗のおまけ付き。JR住吉から阪急御影まで歩いて西宮北口へ。

公演のチラシ

ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調op.60
 チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調op. 36
 指揮:ウラディーミル・フェドセーエフ
 管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
 兵庫県立芸術文化センター

いつも席がほとんど埋まるPACの定期、なかでも今月分は人気だ。安いチケットの出物が少なかったことでそれが判る。フェドセーエフ、今年81歳、だいたい指揮者という人種は長生きの人が多いが、この人も元気だ。しょっちゅう日本に来ているような気がする。背筋も伸びて歩き方も年寄り臭くないのは驚き。そして音楽自体も老けていない。それをいちばん感じたのはアンコールで演奏した2曲、弦楽セレナーデのワルツのふくよかな色気、「白鳥の湖」のスペインの踊りの華やかさ、本プログラムよりもこっちのほうにすっかり感心してしまった。

もちろん、二つの第4交響曲も悪くない。どちらもあまり細かいことは言わずに自然体という音楽の流れでいて、それぞれがベートーヴェン、チャイコフスキーの特質を余すところなく表出した佇まい。前者は交響曲としての完成型であり、これ以上の緊密化は無理という次元に到達したものだ。そんな音楽史上の位置づけを露わにした演奏であるなら、後者はそこからの拡散やヴァリエーションに過ぎない(でも魅力的)という立ち位置、二つ並べるとその対照の面白さが際だつ。
 これがフェドセーエフの良さか、真っ正面からアプローチして、本来その作品が持つ本質を愚直に伝えるという感じ。管楽器セクションでオーケストラの粗はところどころに顔を覗かせるにしても、ある意味では爽やかさを感じさせる演奏、そういえば菊正宗酒造記念館の桜も五分咲き、もうすっかり春である。

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