ハーディング/PAC定期 〜 ベルリオーズの革新性
2015/11/1

直前にオークションで見つけたチケット、行ってもいいなと思っていたコンサート、A席を1000円とは安い。日にちが迫っているので、西宮郵便局留で当日にチケットを受け取り、ニシキタに向かう。

公演のチラシ

スカラ座の来日公演の指揮者にドゥダメルとハーディングの名前が並んでいて、びっくりしたのは最近のことだ。そのときは聴き逃したし、OEKに客演したときも聴いていない。新日本フィルでの演奏も聴いていないから今回が初になる。東日本大震災の当日、東京でマーラーの第5交響曲の演奏を敢行し名を上げたイギリス人指揮者がもう一つの震災の地に初客演するのも何かの縁か。

ドビュッシー:「ペレアスとメリザンド」組曲
   (E.ラインスドルフ編曲)
 ベルリオーズ:幻想交響曲op.14
 指揮:ダニエル・ハーディング
 管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団

ハーディングは来年からパリ管弦楽団の首席指揮者に就任することもあってか、今回のプログラムはドビュッシーとベルオーズというフランスものだ。

「ペレアスとメリザンド」はむかし演奏会形式の上演で何度も居眠りが出て、時差ボケのせいか鼾までかいていたらしく、隣席の人から突かれたという苦い思い出がある曲だ。今回演奏されるのはエーリッヒ・ラインスドルフが編曲した30分ほどの組曲で続けて演奏される。この続けてというのが曲者だ。初めは気持ちよく聴いていたものの、やがて意識がなくなるといういつものパターン、ほんとドビュッシーとは相性がよくない。何を聴いても私は10分が限度だ。ここまで来ると、もう相性云々の問題ではなさそう。論評などできるはずもない。

気を取り直して後半プログラムの幻想交響曲に臨む。こっちはおめめぱっちりで大丈夫だ。これはとても面白かった。何と言っても終楽章、異様なディテールをそれぞれ見事に際立たせる演奏だ。管楽器の奏者への指示が事前に充分行われていたのだろうと想像する。

この曲がベートーヴェンの第9交響曲から数年後に書かれたなんて信じられない気がする。時代を超越した革新性、紛れもない天才的な書法、偉大な交響曲だと改めて感じる。ベルリオーズがひとり傑出していて、その後フランスで交響曲分野で後継者が誰も出ない一方で、独墺系や辺境の作曲家たちがずいぶん長い回り道をしていたんだなあと思う。 もっとも、そのことが交響曲を延命させたとも言えるが。

このオーケストラはメンバーが固定していない。大編成の曲ともなるとOB・OGたちも加わる。管楽器のメンバーの演奏は素晴らしいものだったが、前半の楽章での弦セクション、なかでも第1ヴァイオリンの響きがどうもしっくり来ない。パートとしての音響のまとまりがない。微妙にピッチがずれているのか、奏者の音量・音色の差がそのまま聞こえるような感じがして、これは私の耳のせいかなあ。いつもと違って1階席中央という位置で聴いたことも関係があるのかも。

禅昌寺 那須輿市の墓 妙法寺 妙法寺の看板 弘法の井戸 神戸市営地下鉄海岸線新長田駅にて

西宮まで出るついで、午後のコンサートの前に神戸の街歩きに参加する。JR西日本のハイキング、「こうべ健康ウォーク」と称する「紅葉の須磨・妙法寺街道史跡散策」というイベントだ。歩け歩け協会が主催するものは参加費500円とかで不当利得気味だけど、これは須磨歴史倶楽部というNPO法人主催の良心的な無料企画だ。行政の援助があるので、立派なガイドブックや参加賞のタオルまで貰える。

JR鷹取駅から北上し、板宿商店街を抜けて禅昌寺、那須輿市の墓、妙法寺、弘法の井戸といったスポットを経由し地下鉄妙法寺駅に至る。爺さん婆さんたちと2時間ほどのウォーク。64歳から始めて9回も六甲全山縦走に参加したとか言っている婆さんが賑やか、ここまでなると元気なのか傍迷惑なのかよく判らないなあ。

私はその六甲全山の西1/3ほど歩いたとき、妙法寺に立ち寄っているが、そのときにはここの毘沙門天像は"旧"国宝と看板に出ていた。それが今は"旧"の文字がない。不思議だなと思い須磨歴史倶楽部の人に尋ねると、国指定重要文化財だとのこと。戦前の国宝がチャラになって、その中から改めて国宝を指定した際に漏れたものが"旧"国宝らしいが、判りにくい話だ。このお寺は住職が代替わりしたらしく、それに伴い"旧"の文字を外したのかも。いろいろと大人の事情もありそうだとつまらぬことを考えた。

そして西宮まではテツだ。未乗だった神戸地下鉄、新長田で乗り換えてみなと元町で下車する。老祥記に並んでお昼は豚饅、お土産も買ってリュックに。これからコンサート、問題は匂いが漏れ出さないかということ。

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