ウルバンスキ/大阪フィル定期演奏会 〜 これだけは行く
2016/5/21

改築後のフェスティバルホールで大阪フィルを聴くのは、これが初めて。建替の前からシンフォニーホールに移っていたから、会場だけなら朝比奈時代に戻ったような感じだ。でも、その頃を知らない聴衆もだいぶ増えていることだろう。

チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」
 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18
 ルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲
 ピアノ:アンナ・ヴィニツカヤ
 指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ

旧フェスティバルホール時代の定期演奏会で聴いて、音楽監督に来てくれたら最高だと思った指揮者がパーヴォ・ヤルヴィなら、シンフォニーホール時代ではこのウルバンスキだ。財政状況を考えると海外の優秀な指揮者を迎える余裕はないことぐらい承知だが、前者はNHK交響楽団に、後者は東京交響楽団に取られてしまったのは残念。ただ、ウルバンスキは2年に一度ぐらいのペースで客演してくれるのは嬉しい。この人が醸し出す音楽は衒いがなく自然で瑞々しい。

「ロメオとジュリエット」の細部の丁寧さと推移の見事さ、同じことがお国もののルトスワフスキにも言える。今回のブログラムはルトスワフスキがメインであることは間違いないし、ウルバンスキの熱意も一入だ。もちろん私もこれがお目当て。オーケストラも3菅、16-14-12-10-8の大編成となって、打楽器がずらりと並ぶ。

「管弦楽のための協奏曲」にはショスタコーヴィチの影響が随所に見受けられるし、ブラームス風の音の重ね方もある。両国の間に位置するポーランドだから、そう思って聴くからかも知れないが、何とも面白いものだ。休憩前に演奏されたラフマニノフとは別世界の音楽、コンチェルトは美しい演奏だけど眠くなるのに、「管弦楽のための協奏曲」はすっと耳に入ってくるのだから、自分の耳も19世紀風の管弦楽作品からは遠くなってきていることを感じる。進化論の世界ではないけれど、前半のプログラムの曲目あたりは21世紀の聴衆の感性からすると徐々に疎遠になって行くのかも知れないなあ。

ピアニストのアンナ・ヴィニツカヤ、ややオーケストラに埋没気味の感じがしたが、悪い演奏ではなかったと思う。独奏ピアノが目立つというよりもオーケストラに溶け込んだような趣だ。ソリストには拍手もひときわ大きかった。胸の切れ込みの大きなドレスはちょっとやり過ぎ感もあるけど。とまあ、コンチェルトというジャンルが好きでない自分としては余計なことが気になる。アンコールは予想どおりチャイコフスキーの「四季」のナンバーだった。何をやるのか、だいたい読めるもおかしい。

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