バッティストーニ/大阪フィル 〜 レスピーギ爆演
2016/2/16

学生席になっている3階のようすは分からないが、私の座った2階席は満席の盛況だ。東京フィルが担いでいるアンドレア・バッティストーニがレスピーギのローマ三部作を振るということで、チケットの売れ行きもよかったのだろう。かく言う私もシニア席がなくなってから大阪フィルを聴く機会は激減したけれど、今回はチケットを買ったぐらいだから。

レスピーギ:交響詩「ローマの噴水」
 レスピーギ:交響詩「ローマの祭」
 レスピーギ:交響詩「ローマの松」
  指揮:アンドレア・バッティストーニ

このイタリアの若手指揮者は6年前に「ナブッコ」のピットに入ったときに初めて聴いた。そのときの二期会公演は歌手の出来が悪くて期待はずれだったが、指揮振りには光るものがあったと記憶している。今回はオペラじゃなくてオーケストラコンサート、さてどんな演奏となるか。

結論から言えば、「ローマの祭」がこれぞ爆演という盛り上がり。「ローマの噴水」はやや退屈、「ローマの松」は「ローマの祭」ほどには突き抜けた感じがなかったというところかな。

何と言っても、「ローマの祭」の終曲、「主顕祭 」が凄まじかった。気違いじみた喧噪を、ここまでオーケストレーションした作曲家も凄いが、それを最大限に再現する演奏家も凄い。こんなハチャメチャな音楽は聴いたことがない。これだけでも入場した甲斐がある。家では絶対に無理な聴取体験だもの。大きなフェスティバルホールの空間が飽和状態になることなどほとんどないのに。プログラム的には「ローマの松」じゃなくて、こちらを最後に置いたほうがずっと受けるのにと思った。この爆演のあとでは、「ローマの松」が霞んでしまう。

「ローマの噴水」では指揮台の前にスコアが置かれていたが、他の2曲のときは譜面台は取り払われていた。それが演奏の違いにも表れる。なんだか安全運転のような「噴水」は、眠くなりそうなところで曲が終わった。大阪フィルの音楽の流れ、楽器の受け渡しもなんだかぎこちない。それが、バルコニーの別働隊ブラスで始まる「祭」で一気に覚醒したかのような感がある。若い指揮者が思う存分エネルギーを放出したという演奏、これはもう爽快ですらある。こんな調子でヴェルディをやられたら、ちょっと違うんじゃないかと言いそうだが、この曲だったらこれでいい。

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