ニューヨークシティオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」「パリアッチ」
New York 1987/10/1

METのシーズンが始まるとシティオペラはそろそろバレエのシーズンとなる。この時期はリンカーンセンターの両劇場でオペラが上演されるタイミングだ。したがって、あっちに行ったりこっちに行ったりと忙しくなる。シティオペラではプッチーニ作品の連続上演で楽しませてもらったが、私はこの日のダブルビルで打ち止め、これは今シーズンのMETの演目にはないオペラだ。
 二つセットで上演されることの多いオペラだけど、不思議に日本国内でこのダブルビルで観たことはない。ニューヨークの客席にいる人たちの中には、ルーツがシチリアという移民の末裔の人たちも一定数いるんだろうなあと思いながらヴェリズモの二大傑作を観る。

一人の歌い手が両作品に出演するというケースもあるが、この日のキャストは全く重複がない。サントゥッツァのレスリー・リチャーズ、トゥリドゥのアウグスト・パリアルンガ、ネッダのフランシス・ギンスバーグ、カニオのジョン・アブサロム、いつものとおり主役の人たちの名前には馴染みがない。基本的にベテランと呼べる人が出ることはないから、そういうものだけど、野心を持った歌い手たが登場するシティオペラは活気がある。したがって演奏は前のめりのことが多くなる。

ニューヨークシティオペラの音楽監督を務めているセルジュ・コミッショーナという指揮者の名前は聞いたことがある。ルーマニア生まれで米国籍のようだ。オーケストラ指揮者だと思っていたら、オペラハウスの仕事もしているんだ。まあ、それは普通のことかも知れないが。

短期間ですっかり馴染んだシティオペラ、肩肘張らず気楽に鑑賞できるし、何よりも安いのがいい。METと違って字幕も付くからそれも助かる。ロビーも広々と開放的でリラックスできる。METの隣で劇場運営は大変なところも多いだろうけど、健闘しているのではないかな。

ジャンルのトップメニューに戻る
inserted by FC2 system