メトロポリタンオペラ「ワルキューレ」 〜 シーズンに三作、二つ目を観る
New York 1987/10/31

少し前に「ラインの黄金」を観たところだけど、さっそく第2作の「ワルキューレ」だ。続けて観たことなどない四部作、「神々の黄昏」まで辿り着けないのが残念だけど、3/4でよしとしなければ。

フリッカ役のヴァルトラウド・マイヤーは同じだが、ヴォータン役をハンス・ゾーティンが歌う。ブリュンヒルデはヒルデガルト・ベーレンス、ジークムントはティモシー・ジェンキンス、ジークリンデはジャニーヌ・アルトマイヤーという配役、兄妹役は知らない名前だeが、他の人たちの名前はお馴染みだ。公的助成のないなか、METのスポンサーの財力たるや凄まじいものがある。ドル札の束でこれだけの有名歌手をかき集めるのだから。

通しで全幕演奏される「ラインの黄金」と違って、「ワルキューレ」はちゃんと2回の休憩があるのが有り難い。ひと幕が1時間半ほどあるのだから、私には持久力が続かない。こちらの人たちはどうなんだろう。住んでいるアパートのあるマンハッタンのアッパーイーストはドイツ系の人が多いと聞いている。そのあたりから聴きにやって来るのだろうか。イタリアオペラの日とは微妙に客層が違う気もする。

大がかりな舞台だけど、スペクタルというほどでもない。台本に忠実なので判りやすいのだが、それ以上の面白さがあるかとなると疑問なところもある。現在進行中の新演出によるツィクルス、保守的と言われるMETだからこういうものなんだろうか。きっと寄付者の嗜好を無視することもできないという事情があるのだろう。これが親方日の丸(星条旗?)でないオペラハウスなりの難しさかな。

演奏は上質であるものの、プロダクションと同様に刺激がないと言うのは贅沢かな。舞台と客席が一体となって発熱するような瞬間というのはドイツものではあまり期待できないようだ。

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