メトロポリタンオペラ「トスカ」 ~ ナマと映像はずいぶん違う
New York 1987/11/4

11月早々に積雪に見舞われたニューヨーク、ところが、その後は穏やかな日が続く。この日は平日だし、超人気公演でもないからチケットを買っておらず、当日に$6の立見席を買って入場。だんだん要領が分かってきて、New York Timesでチケットの売れ行きをみて、前売りを買うか立見にするかを決めるようになった。そんなニューヨーカーも多く、立見とは言いながら、大抵はファミリーサークルの空席に収まっている。

METの「トスカ」は家にレーザディスクがある。それと同じプロダクション、フランコ・ゼッフィレッリの豪華絢爛の演出だ。例によって、ハリントン夫人がスポンサーである。
 実際にナマで見てみると感じが違う。まず、第1幕は背景や舞台下手のセットは書割で、ビデオで見るほうが全体としては豪華だ。第3幕はカヴァラドッシの移動に伴って舞台が沈み込み、牢屋からサンタンジェロ城の屋上に変わっていく。音もなく舞台が幕中に大移動するのはまさに壮観だ。ビデオではこの箇所はピットと指揮者のシノーポリを映していて、いったいどうなっているのか判らない。

ピットに入ったのはシノーポリではなく、クリスチャン・バデアという指揮者、ルーマニア生まれらしい。主役3人は、題名役がエヴァ・マルトン、恋人役がウラジミール・ポポフ、仇役がシェリル・ミルンズというトリオだ。
 大ベテランの域にあるマルトンとミルンズはさすがの声と演技、ところがカヴァラドッシのポポフはいまひとつの感じ。ソ連のテナーがイタリアオペラの主役を歌うのがいけない訳じゃないけど、何となく歌に違和感を覚えてしまうところがある。ニューヨークだから、METだから、いろんな出身地、いろんな国籍の人が舞台に上がる。

「トスカ」は、カミサンが別キャストで観ており、そちらではヒルデガルド・ベーレンス、エルマンノ・マウロ、コーネル・マックニールというトリオだった。テノールがドミンゴだったら、ビデオと同じだ。カミサンは「やっぱりドミンゴがいい」とか贅沢を言っていたが。

ジャンルのトップメニューに戻る
inserted by FC2 system