バーンスタイン/ニューヨーク・フィルのマーラー第3交響曲 ~ お国柄?
New York 1987/11/25

8月にニューヨークに来てから、連日のようにニューヨークシティオペラへ、9月にはMETのシーズンも始まりオペラ三昧の生活が続く。パークアヴェニューの事務所からリンカーンセンターまで、大した距離でもないし開演時刻は20:00なので、ゆったりと出かけることができる。同じリンカーンセンターでも、今回はオーケストラ。考えてみれば、こちらに来てからオーケストラの演奏会は初めて。METを中央にNYCOのニューヨーク州立劇場と向かい合うエイブリー・フィッシャー・ホール、ニューヨーク・フィルの本拠地。オーケストラの本格的なシーズンはこれからだし、足を運ぶことも増えそうだ。

当日のプログラム(出演者リスト)

レナード・バーンスタインがニューヨーク・フィルを振ってマーラーをやる。こちらでもプレミアム・チケットのようで、Sold Outとアナウンスされていたのに、数日前にホールのチケットボックスに行くとちゃんとある。定期演奏会など通しで買っている人が寄付するようだ。主催者側はそれを再販売する。寄付した側はその証明をもらって税金が控除されるという仕組、なかなかよいシステムだ。

演奏自体は熱演だけど、どうもしつこい。これがバーンスタインだし、マーラーなんだろうけど、私の肌に合わないところもある。ユダヤ系の人が多いニューヨーク、聴衆にもたくさんいるだろうし、そもそも指揮台の人からして。

バーンスタインはマーラーをポピュラーにした立役者の一人だが、今や多くの指揮者がふつうに取り上げるようになっている。いろいろなアプローチがあるなか、もはや彼の演奏もいささか大時代的な色合いが感じられる。変化の少ないクラシック音楽と言えど、そのスタイルはどんどん変わっていく。

ソリストに迎えているのはクリスタ・ルートヴィヒ、これはとっても大物だ。コーラスはニューヨーク・コラール・アーティスツ 、どういう団体なんだろう。そして第5楽章に加わる児童合唱がブルックリン少年合唱団 。この子供たちを見ていると面白い。90分を超えるマーラーの最長交響曲、演奏開始から舞台に上がっていたら出番までものすごく長い。客席にいたら適当に姿勢を変えながら聴いておればいいのだが、舞台上に座っているとそうもいかない。いや、そんなことはない。彼らは大欠伸はするわ、隣の子と話はするわ、目の前のバーンスタイン先生などお構いなしの風情、そりゃ子供なんだから仕方がない。日本やドイツならお行儀良く座っているかも知れないが、ここは自由の国アメリカ、ちゃんと出番のときにしっかり歌えばそれでよし、細かいことは気にしないのだ。

当日レコーディングされたCDの発売時のジャケット

開演前、会場では入場者にのど飴が配られていた。ドイツ・グラモフォンがライブレコーディングすることが告知されている。バーンスタインが進めている新しいマーラーの交響曲全集の一環となるのだろう。もっとも、後生に音をとどめるために咳をする輩がいるかも知れないけれど。

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