メトロポリタンオペラ「こうもり」 〜 年を越してしまって
New York 1988/1/13

お話が大晦日の出来事という設定だから、「こうもり」は年末の演し物と相場が決まっていて、METでも暮れからかかっているが、観るのは年を越してからになってしまった。まあ、終幕の刑務所の日めくりカレンダーだって"32"になっていたから、大した誤差じゃない。

トーマス・アレンのアイゼンシュタイン、ジュディス・ブレゲンのアデーレ、アラン・グラスマンのアルフレード、タチヤナ・トロヤノスのオルロフスキー、そしてマリリン・ミムズのロザリンデ、彼女はこの日がMETデビュー、この人はシティオペラのヴィオレッタに続いて聴くことになる。これはなかなかないことかも。看守フロッシュ役には演出家が出演、そうかオットー・シェンクという人はもともとは役者だったんだ。指揮者は「マノン」のときと同じ、マニュエル・ロザンタルだ。

歌手は揃っているし、演出もよくできているし、楽しめる「こうもり」だ。地の台詞が英語というのも違和感がない。ちょっと観る時期が遅れたけど、キャストの点から言えば待っていて正解かな。

メジャーなオペラハウスで上演される唯一のオペレッタ、確かに「こうもり」は音楽もいいし、筋立ても面白い。ましてや、METの舞台のように豪華で歌い手も揃うとなれば楽しめるのは当たり前だ。実はニューヨークに来て、一度は行ってみなければと出かけたミュージカル、演し物は"Me and my girl"だったが、全く楽しめなかった。歌も踊りも中途半端、芝居なのかオペラなのか、どっちつかず。そもそも肝心の歌が声楽的な満足感を得られないので、二度と行く気にはなれなかった。その伝で行けば、オペレッタも似たところがある。ウィーンのフォルクスオパーがしばしば来日するが。芝居はともかく、やはり歌い手のレベルで見劣りすることは否めない。「こうもり」だけがスターツオパーの演目に入るというのも判る。

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