カーネギーホールのクリーブランド管弦楽団 〜 セルではなくドホナーニ
1988/1/26

クリーブランド管弦楽団といえば、私の世代ではジョージ・セルの名前と分かちがたく結びついているのだが、現在のシェフはクリストフ・フォン・ドホナーニ、でもハンガリー系ということで共通しているのは面白い。ニューヨークにいるとアメリカのメジャーオーケストラが次々と聴ける。

この日のプログラムはマーラーの第5交響曲がメインで、ナイクルグという現代作曲家のヴァイオリン協奏曲と組み合わせたもの。ソリストはシュロモ・ミンツ。ニューヨークタイムズの演奏会評を読むと、このコンチェルトへのコメントに多く割かれていて、マーラーについてはいささか冷淡だ。

ナイクルグは、初めピンカス・ズッカーマンのピアノ伴奏者として注目を集めた41歳のアメリカ人作曲家で、1982年に書かれたこの曲で地位を確保したとのこと。20分ほどの短い作品で、新聞はご当地作曲家ということで作品も演奏も持ち上げているが、どうなんだろう。後世に残る現代作品なんて稀だし、これが該当するかなんてことは私には判らない。

全然評価されていないマーラー、ひとことで言えば微温的として片付けられている。レナード・バーンスタインやクラウス・テンシュテットを引き合いに出して、ドホナーニの演奏はこの曲が持つ荒々しさ生々しさに欠けると一蹴している。まあ、そういう見方もあるのだろう。規範がないアプローチの多様さがマーラーの面白さだから、私は優しいマーラーだってありだと思う。

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