カーネギーホールのバッファロー・フィル 〜 マーラーつづき
1988/2/7

ニューヨークフィルで第3番、クリーブランド管弦楽団で第5番、フィラデルフィア管弦楽団で第9番、世界的に流行とはいえ、あちこちのオーケストラでマーラーが続く。そして最近とみに盛名のバッファローフィルが第6番を演奏する。僅かの期間でこれだけのものを聴けるというのは贅沢な限り。それに、チケットも安い。おまけにこの日のコンサートは一曲プログラムじゃなくて、アンネ=ゾフィー・ムターが弾くモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第4番まである。これはお買い得というもの。

近年売り出し中の若き音楽監督セミヨン・ビシュコフが指揮台に立つのも興味津々だ。新聞記事によれば、このソビエト出身の指揮者は、アメリカ、ヨーロッパの著名オーケストラを振って注目されており、その中には1985年にヘルベルト・フォン・カラヤン以外では初めてベルリンフィルのドイツ国内ツアーを率いたことも含まれるとある。まあ日本にいると、欧米の状況は話には聞いてもピンと来ないところもあるのだが、実際に耳にできる場に居合わせるとだいぶ違う。

それで、この35歳の指揮者の良さが判ったかというと、そうでもないというのが正直な感想だ。どちらの作品も録音では何度も聴いている馴染みのある曲だけど、この演奏にハッとする才気の煌めきを感じたところはない。何となく未整理で脈絡のない音楽という気がしてならない。特にマーラーにはもともとそういうところがあるのだけど、それを見事に料理して聴かせるという感じでもなかった。若くして有名になってしまっただけに、これから先が大変ではないかな。

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