メトロポリタンオペラ「ホフマン物語」 〜 二度目はドミンゴ
New York 1988/3/16

このオットー・シェンク演出の舞台はMETらしいスペクタクルであり、しかも大変に美しい。前年の公演で観てとても気に入ってしまった。ゼッフィレッリの豪華絢爛の演出に勝るとも劣らないものだと思う。4月には帰国となるので、私にとってこれがMET最後の公演になる。シーズンレパートリーのうちいくつか観ることができなかったものもあるが、ほぼ見尽くしたという感じ。「ホフマン物語」は二度目、前回はニール・シコフが題名役だったが、今回はプラシド・ドミンゴ。 当代随一のテノールで締めくくりということだ。

この公演はどうしてもホフマンに光があたる。キャスト的にそうならざるを得ないところもあるが、ある意味では前回見たオールアメリカンキャストのほうがバランスがとれたいたかも知れない。まあ、その分、ドミンゴの歌を堪能できたのだから文句はないのだけど。そして、こちらにすれば二回目だから、演出を楽しむ余裕もある。何度見ても美しくて楽しい舞台だ。女性3人が順次登場する各幕の対照が素晴らしい。

舞台もさることながら、これが見納めとなるとMETの内外いろいろな思い出がある。土曜の早朝に翌週の立見席を求めて列に並んだこと、冬場の寒さを凌ぐためにデリの25¢のコーヒーで暖まったこと、職場から駆けつけて20:00の開演前に近くのPizza Hutで腹ごしらえをしたこと、METのショップやTower Records、少し離れたBarnes & NobleでCDを物色したこと、きっと懐かしく思い出すことだろう。MET、いつの日か再訪したいものだ。

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