シノーポリ/フィルハーモニアのブルックナー
New York 1988/3/17

METの「マクベス」でピットに入る予定だったジュゼッペ・シノーポリ、とても楽しみにしていたのにキャンセルになってしまい。ニューヨークで聴けたのは結局2回のコンサートだけになってしまった。しかも、それが私の嗜好とはずいぶん違ったプログラムだったのが残念。「ナブッコ」での鮮烈なレコーディング、大阪での「マノン・レスコー」、東京での「蝶々夫人」、いずれも忘れがたいものだっただけに、ニューヨーク勤務の最後に聴くのがブルックナーとはねえ。それが第8交響曲の単独プログラムだ。今回は手兵のフィルハーモニア管弦楽団との来米ということになる。

57丁目のカーネギーホールもコンサートシーズンにだいぶ通った。リンカーンセンターのエイブリー・フィッシャー・ホールと比べるとここの音響はずいぶんいい。やはりオーケストラだとここということか。

それでシノーポリとフィルハーモニア管弦楽団の演奏なのだが、ニューヨークタイムスに出た批評によると田舎くさいブルックナーを都会化したような、贅肉をそぎ落としてダイエットしたような、指揮者の個性が際立つものという捉え方だ。残念ながら私は他の演奏と比較できるほど、と言うか、ほとんどブルックナーを聴いていないし、毛嫌いする作曲家でもあるので、その批評の当否は判断できない。僅かに期待はシノーポリが魔法にかけて私の先入観を覆すような音楽を提示してくれのではと思ったのだが、 そうはならなかった。まあ、それは仕方ないことだろう。これで行くと、もうブルックナーを聴く機会は多分ないのではないかな。

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