ウィーン国立歌劇場「ばらの騎士」 ~ 時差ボケは厳しい
Vienna 1992/2/8

ニューヨークでしばらく暮らしていた頃、METに入り浸っていた以来、海外でオペラを観るのは久しぶりだ。勤め先の15年勤続での特別休暇が一週間、前後の週末を含めると9日間の休みとなる。となると、カミサンと一緒に海外へ。ウィーン、ミラノのオペラツアーに申し込んだ。直前にカミサンが風邪気味となり心配したが、何とか回復したようだ。

地球を西回りに飛ぶと、東回りよりも時差ボケは軽いもの、ヨーロッパは遠い。ウィーンに着いて、最初のオペラが「ばらの騎士」というのもなかなか厳しいものがある。それなりに長いし、馴染みのないドイツ語の歌唱で字幕もない。幕が進むにつれて昼間の観光の疲れも出てきて意識を失いそうになる。やはり、短めのイタリアオペラでのスタートが良かったなあ。とは言っても、こちらも日程が決まっているのだから仕方ない。

オットー・シェンクの演出、ウルフ・シルマーの指揮、オックス男爵はワルター・フィンク、公爵夫人はメヒティルト・ゲッセンドルフ、オクタヴィアンはグラシエラ・アラヤ、ゾフィーはイルディコ・ライモンディという顔ぶれ。座付きではないにせよ、ウィーンのレギュラーメンバー的なキャストなんだろうか。日本で名の知られた歌手たちということでもない。

オットー・シェンクのプロダクションはMETでもいくつか観ている。オーソドックスというか、ヘンな読み替えなどしない綺麗な舞台を作る人だ。このオペラの舞台であるウィーンで観るわけなのでまさにご当地、時代としてはマリア・テレジア治世だから、昼間に巡った歴史的建造物が建てられた頃でもある。この作品に接するシチュエーションとしてはこの上ないのだけど、私はどうも登場人物の誰にも感情移入できなくて、「ばらの騎士」は好きなオペラではない。そこに時差ボケと来るから鑑賞の条件が悪すぎる。まあ、それは仕方ない。毎夜のオペラといっても、いつも最高というものでもない。明日の「オテロ」に期待ということか。

ジャンルのトップメニューに戻る
inserted by FC2 system