ミラノスカラ座「アラベラ」 ~ はるばる来たけれど…
Milan 1992/2/12

ヨーロッパでオペラを観たいという念願かなって、カミサンとの旅行。出発前にひどい風邪だったカミサンも気合いで回復。ウィーンで三つのオペラを観て、もうひとつの目的地ミラノに。カミサンの場合、オペラは私のつきあいで、観光や買い物がメインイヴェントというところもあるけど…

しかし、ミラノスカラ座での演目が、ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮の、Rシュトラウス「アラベラ」というのも恨めしい。と言うのも、この名指揮者の「アラベラ」は、バイエルン国立歌劇場の来日公演でも採り上げた演目、私は大阪で観ている。休暇のスケジュールの関係でそうなったとはいえ、それがイタリアオペラの大本山まで来て観るオペラだとは…。

公演のキャスト表

私にとってはこの作品の舞台を観るのは二度目。リヒャルト・シュトラウスのなかでもあまり馴染みのあるものでないのはミラノの聴衆にしても大差ないようだ。出演者は熱演なのに、客席の反応は今ひとつなのだ。やはりお国ものを聴きたかったのは否めない。キャストはナンシー・グスタフソン(アラベラ)、アンジェラ・マリア・ブラシ(ズデンカ)、アラン・タイタス(マンドリカ)、マーカス・ハドック(マッテオ)、アルフレード・クーン(ヴァルドナー伯爵)。

スカラ座のファサードはお世辞にも立派とは言えない。どこかの、裏口かと見まごうほど。公演ポスターだって無造作に入口に貼ってあるだけ。長い歴史を感じさせるのは、入口を入ったあとのホワイエかな。これも広くはないし、休憩時間ともなれば人がひしめいている。まあ、こんなものか。まいったのはトイレ、どこにあるか探すのに一苦労。やっと見つけたそれは、一人用の個室、男女共用で待ち行列。前にはトイレ番がいてチップが必要。もっと大きなトイレがあるのかも。

シーズンプログラムの表紙

客席は客席で、これもお世辞にも見易いとは言えない。二階正面に近いバルコニーだから、最高に近いポジションなのに、ボックスの最前列だけが舞台全面を望むことができる。しかも、数脚ある座席には番号がなく、ボックスだけが指定されている。たまたま早く劇場入りした私たちは、最前列を確保したものの、後から来た人たちはお気の毒。こんなものなのかしら。昔は舞台などそっちのけで、ボックスの中で色々なことをしていたようだから、これでよかったのかな。
 しかし、音の素晴らしさは格別。歌とオーケストラの響きの混ざり具合、響きはデッドでもなくライブでもない絶妙の加減。設備面では疑問も多いオペラハウスだが、この音で全て帳消しになるんだろう。

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