ローマ歌劇場「真珠採り」 ~ これも"漁師"になるのかな?
Rome 1993/2/26

二年連続でイタリアに来られるとは思わなかった。しかも、今度は出張、旅費負担なし!
 本当はトリエステに向かうはずだった。ジェネラーリという会社を訪問すべく、アポイントを取ろうとしたら、先方が指定してきたのはローマ、そこでの面談となる。しかも金曜日の午後。仕事が終われば、次の目的地ミュンヘンに移るまでは、"ローマの休日"(^^)

さっそく、いつものフィナンシャル・タイムズでオペラのスケジュールを…。あった!ビゼーの「真珠採り」、まだ観たことがない作品だ。金曜の夜、ローマ歌劇場(Teatro dell'Opera di Roma)、どんぴしゃ。6回公演の千秋楽のようだ。スタジオーネシステムのイタリアでは、一演目を飛び飛びの日程で上演するので、こちらの滞在日と合わないことも多いが、今回はラッキー。しかもサッバッティーニが歌うし、ミシェル・プラッソンがピットに入る。

公演プログラムの表紙

訪問先からオペラハウスに直行、"I pescatori di perle"とあるから、「真珠採り」で間違いない。漁師という言葉には違和感があるが、真珠すなわち海女のイメージがあるのは日本人だけか。ともかく、平土間の真ん中の席を難なくゲット、日本なら間違いなくS席、数万円の値が付けられる席だが、135,000リラ(1万円弱)。

ヴァチカン近くのホテルなので、地下鉄の終点オッタヴィアーノ駅からオペラハウスのある中心街へ。レプブリカ(共和国広場)駅で降りて歩いていると、声をかけて来たのは自称スイス人、いいレストランに案内するとか親しげに英語で話しかけて、散々飲み食いして勘定前にドロンという詐欺だ。ローマによく出没するとの話は聞いていたので、あっさり撃退。「あんた、日本でも有名になってるよ」

スカラ座と違って、ホワイエなども明るい雰囲気のオペラハウスだ。なにより、トイレがきれいで近代的なのはホッとする。スカラ座のトイレは少なくて、どこにあるか判らないうえ、いちいちチップを払わないといけなから、おちおち、おしっこもできないのだ。

公演のキャスト表

ジュゼッペ・サバティーニが歌うナディールは、聴きごたえがあった。そんなに超高音を楽々という歌い手ではないが、決して音楽のフォームが崩れないし、いつも真摯さが伝わってくる。高音のピアニシモを要求される役ですが、繊細で美しい音を聴かせてくれる。ズルガ役のバリトン、クリストファー・ロバートソンのデュエットも素敵だ。

ヒロイン、レイラ役のアレッサンドラ・ルッフィーニは、そんなに印象に残りなかったが、悪くはない。ヌーラパッド役のジャンニ・デ・アンジェリスも同様。

ローマ歌劇場のオーケストラの普段の演奏はどんなものか知らないが、ミシェル・プラッソン指揮の下、何ら違和感のないビゼーの音が出ている。今やフランス・オペラの大御所だし、それも当たり前か。

レンツォ・ジャッキエーリの演出は奇を衒うところはなく、オーソドックスな感じ、あまりオリエンタリズム(オペラの舞台はスリランカ)を強調するということもない。

オペラハウスの聴衆の雰囲気もミラノとは少し違う。ローマは肩肘張ったところがなく、こちらもリラックスできる。もっとも、ご当地イタリアものとなると、違ってくるかも知れないが…

20:30開演なので、終演のころには深夜、ホテルまでタクシーに乗ったのはいいが…。イタリアのお金はゼロが多くて大変、1/10して割り引けば、日本円の感覚なのだが、間違いそう。タクシー代の小銭が少し足りず、ゼロの多い紙幣では釣りもなさそう。"Mi mancano …"なんて言ったら、運ちゃんあっさり料金をまけてくれた。ボラれることもあるというイタリアのタクシー、下手でも現地語でやると大丈夫ということかな(^^)

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