ロイヤルオペラハウス「トゥーランドット」 〜 ご当地で、再び
London 1993/3/4

コンチネンタルヨーロッパから英国へ。音楽鑑賞旅行ではなく仕事で回っているのだが、寒い季節でもオフタイムの楽しみはいっぱいだ。ロイヤルオペラハウスは英国出張の折に何度も通ってすっかりお馴染みになった。ここは地下鉄の駅から直結、宿泊先からも移動もとても便利。

この「トゥーランドット」は、1986年のロイヤルオペラハウス来日公演のときの演出と同じものだ。7年の歳月を経てまたロンドンで再会するとは思ってもいなかった。それだけ一つのプロダクションの息が長いということなのか。巨大な生首が並ぶような舞台はグロテスクだし、そんなに人気の演出ということもないとは思うのだけど。

題名役はギネス・ジョーンズ、王子役はジョルジョ・ランベルティ、女奴隷にはジュディス・ハワースというキャスト。ギネス・ジョーンズなんて往年のワーグナー歌手だとばかり思っていたのにまだ歌っていたんだ。60歳ぐらいだろうか。ビルギット・ニルソンの例を引くまでもなく、ワーグナーの重い役を歌う人がトゥーランドットを持ち役にすることは珍しくない。 確かに、堂々たる烈女ぶりだ。どうもそっちの方のイメージが強すぎて、最終幕の愛を知った女性への変身という感じはあまりしなかったのだが、このオペラでは女性らしさはリューの受け持ちと考えれば不思議ではない。いずれにせよ、プッチーニはそこまで書かずに未完に終わったのだから。

日本で観たときのカラフ役はフランコ・ボニソッリ、トゥーランドットはオリヴィア・スタップだった。そちらのコンビとネーム・ヴァリューで見劣りはしないが、どうも二度目の舞台となると新鮮味が薄れる。どうも演出家が新奇なものを打ち出すとその劣化も速い気がする。7年前と指揮者も同じ、マルク・エルムレルだったということに後から気が付いた。

ジャンルのトップメニューに戻る
inserted by FC2 system