ロイヤルオペラ「エフゲニー・オネーギン」 ~ これが噂の…
London 1993/11/2

最近よく名前を聞くディミトリー・ホヴロストフスキー、若いのにシルバーの髪(そういう地毛か)、なかなかのハンサムボーイ、さて歌はどんなものかしら。

今回のロンドン滞在、ロイヤル・オペラで二夜連続、初めて観る作品つづきというのは、幸運と言っていいのか、それとも、マイナーな出し物で退屈してしまうのか。そう言えば、同じロンドン・コロッセウムではイングリッシュ・ナショナル・オペラ(ENO)のマスネ「ドン・キホーテ」もあって、選択が難しいところだ。ENOは常に英語上演、結局は原語上演のロイヤル・オペラでチャイコフスキーの代表作を観ることに落ち着いた。

公演のキャスト表1 公演のキャスト表2

キャサリン・マルフィターノがタチアナを歌い、レンスキーはジュゼッペ・サッバッティーニ、もちろんディミトリー・ホヴロストフスキーは題名役。なかなかの豪華キャストと言える。他では、エイリアン・ジェイムズ(オルガ)、ジュリアン・ナイト(ラリーナ)、グウィン・ハウエル(グレーミン)。ジョン・コックス演出、指揮はマルク・エルムレル(彼は1986年のロイヤルオペラ来日公演でも振っていた)。

確かにチャイコフスキーがオペラと呼ばずに「叙情的情景」と名付けただけに、ドラマとしての推進力と言うかエネルギーが不足している作品だ。もちろん、私の好きなチャイコフスキーらしい美しい旋律に溢れていますが、オペラとしての感銘を与えるにはパワー不足は否めない。手紙の場面での女声の二重唱、レンスキーのアリア、ワルツなど、聴きどころには事欠かないにしても、それぞれが単発のもの。以前、スペードの女王を観た時も同じような印象だったから、チャイコフスキーのオペラへの適性は微妙なところ。バレエでは不朽の古典を残した作曲家なのに。

舞台には、予算が足りないのか、あまりお金がかかっていないようす。私にとってこの二年で三度目になるロンドンの市街では、to let(貸室あり、toiletじゃない)の看板が目立つだけに、不動産市場を筆頭に景気が冷え込んでいる影響もあるのだろうか。

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