オペラ座バスティーユ「蝶々夫人」 〜 パリの蝶々さん
Paris 1994/10/15

「蝶々夫人」は、日本国内では毎年あちこちで上演されているので、ご当地ものという気もしないではないが、海外でこの日本を舞台にしたオペラに遭遇すると、ちょっとした感慨があるものだ。日本人の姿が稀な客席にいると、大多数の聴衆と日本人である自分とでは、微妙に心象が違うのではないかとも思う。とまれ、欧米に日本を知らしめるという意味で、プッチーニに負うところは大きい。前日はヴェルディ、そしてこの日はプッチーニ、パリなのにイタリアものが続くのだが、世界的な上演頻度からするとこんなものか。

前日にも来ているから、バスティーユまでのメトロ乗り継ぎにも慣れた。監獄があったところだから街の中心ということでもない。新しいオペラハウスなので伝統的な馬蹄形の客席ではなく、上階からも舞台が観やすい。さあ、どんなバタフライになるのだろう。

タイトルロールはミリアム・ガウチ、聴いたことのない人だ。ピンカートンはジャコモ・アラガル、この人の名前は知っているが、ナマで聴くのは初めて。シャープレスはアンソニー・マイケルズ=ムーア、イギリス人かな。ということは、フランス、スペイン、イギリスという国際的なキャスト、そして指揮はマウリツィオ・ベニーニ、この人はイタリアか。まあヨーロッパは隣国が近いから普通のことなのかも。それなりに揃ったキャスティングだと思うが、この日の演奏から感銘を受けたかとなると微妙だ。個々の歌、アンサンブル、それにピット、どれも充分な訴求力がない。パリのオペラ、そういう水準なんだろうか。

衣装は現代に近い舞台、日本人として観ているとヘンにジャポニズムに流れたものよりは違和感はないとも言えるが、ただ、どうなんだろう。説得力を持った演出ということでもないし、なんだか低予算版という雰囲気もある。演出家はロバート・ウィルソン、この演目の場合、自身が日本人であるが故に、外国人演出家の手になるもで腑に落ちる舞台というのは少ないなあ。

ジャンルのトップメニューに戻る
inserted by FC2 system