藤岡幸夫/関西フィルの「レニングラード」 ~ B面のひろいもの
2008/4/29

前日のリサイタルからまだ24時間経過していないのに、またシンフォニーホールへ。お天気もよくてGWの行楽日和に室内というのもアウトドア派には今ひとつだなあ。まあ、まだ完治ではない腰痛のこともあるし、ここは温和しく(?)時代の轟音を聴く。

モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488
 ショスタコーヴィチ:交響曲第7番ハ長調作品60
           「レニングラード」
  指揮:藤岡幸夫
  ピアノ:関本昌平

「レニングラード」、おどろおどろしい第一楽章、GWのことでP席に子どもの姿が多く見られたが、小さい女の子なんて凶暴なクレッシェンドに怯えた表情、そりゃあ、初めてナマでこんな曲を聴いたらねえ。

こちらはスレたおやじ、今回の関西フィルの201回記念公演、前の大植/大阪フィルのときよりもややパワー不足かなあなんて思ったりする。しかし、自宅では近所迷惑で絶対に聴けない曲のひとつだから、コンサートホールに足を運ぶ価値はあるものだ。やっぱりオーケストラ自身にとっても喧しいのだろう、木管セクションの後ろには遮音用のアクリル板が何枚も。人間の耳は後ろを向いている訳じゃないが、至近距離でブラスの咆哮、パーカッションの炸裂じゃたまらないだろう。

それにしても、前回の200回定期に続く完売、NPO関西フィルは頑張っている。この前はダイキン工業、今回はNTTドコモ関西がメインスポンサーになっており、地元企業にしっかり食い込んでいる様子。NPO法人に移行したことで、多方面からお金を集めやすくなったのかも知れない。

思いの外だったのは、全く関心もなく期待もしていなかったモーツァルト、これが良かったのだ。超弩級のシンフォニーにカップリングされたB面ピースというプログラムだったが、関本昌平という23才のピアニスト、一音一音がとてもピュアでくっきりとした印象、技術だけじゃなく感性も優れているように感じた。

見かけはもっさりとした感じで目立たないごく普通の若者だが、ショパン国際コンクールでの4位入賞があるとか。さすがに、チャイコフスキーコンクールとはレベルが違うのかなあ。「コンクール入賞がなんぼのもんじゃ」とは思うし、芸術性とは別次元という例には事欠かないが、なかにはいい素材もいるものだ。ちょうど息子と同い年、この先の飛躍に期待したいもの。

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