大植英次/大阪フィルのショスタコーヴィチ ~ 早退、30分コンサート
2011/2/18

明日からの出張に備えたわけじゃないけど、本日はわずか30分のコンサート、休憩時間にザ・シンフォニーホールを後にする。予定どおりの行動だ。同じ第9交響曲といっても水と油、この二つをともに受容できる人っているんだろうか。私はダメだ。

ショスタコーヴィチ:交響曲第9番変ホ長調作品70
 ブルックナー:交響曲第9番ニ短調
  管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
  指揮:大植英次

後半は聴いていないので何も言えないが、ショスタコーヴィチはなかなかの演奏である。と言うか、ずいぶんいい。この曲は管楽器が肝だけど、とてもいい出来だ。特にピッコロ奏者が素晴らしかった。オーケストラとのバランスが絶妙、飛び出すところは飛び出し、引っ込むところは引っ込む、目立ち過ぎる楽器だけに、これがなかなか難しいのだ。上手い下手より、他との釣り合いがいい演奏というのは少ない。楽器のバランスは指揮者の仕事ということなら、大植さん復調かな。ショスタコーヴィチは相性がいいと思うし、大阪フィルの実力がきっちり発揮されるとこれぐらいは出来るいうことか。

ショスタコーヴィチの第9交響曲、今までに聴いたときの印象とえらく違う。短くて軽いというイメージだったのに、この演奏はずいぶんと重いし、長く感じた。30分ほどの小曲という感じがしない。あの物議を醸した大植さんのマーラー第5交響曲ほどではないが、ショスタコーヴィチのオーケストレーションの隅々まで見せながら、他の交響曲と同じく、どぎつさや皮肉も余すところなく曝け出すというような演奏だ。それでいてオーケストラのアンサンブルの進化がもたらしたベースのところでの安定感があるから、とても面白い音楽になる。

2011~2012シーズンを最後に大植さんは音楽監督を辞任、出来上がった定期演奏会の年間チラシにはファイナルシーズンといった文字が躍っている。ファンの裾野を拡げるという点では紛れもなく多大な功績があった大植さんだが、ここ2~3年は芸術面では議論の余地ありだったと思う。一年後にオーケストラがどういう体制になってるのか判らないが、在任9年という期間は決して短いものではないし、今後とも大阪フィルとは関係していくのだろうと思う。最後のシーズンの演奏会は聴き逃せない。

東京なら、ショスタコーヴィチだけ聴いて帰る人、遅れてブルックナーだけを聴きに来る人が何人もいると思うが、さすが大阪、きっちり元は取らんとというところか、休憩時間のホールの出入りはほとんどない。完売ではなかったようで、ブルックナー目当てで入場できなかった人にチケットをあげようと思っていたのに、そんなファンの姿は見えず。

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