なら100年会館の「アマールと夜の訪問者」
2018/2/3

地元のタウン誌に載っていたのをカミサンが見つけた。「こんなオペラ、知ってる」と聞く。「ああ、それは、メノッティというイタリア系アメリカ人の作曲家がテレビ放映用に作った1時間ぐらいのオペラで、ニューヨークで観たことがあるよ」と即レス。「あーあ、よー行っとるわ」
 なら100年会館の中ホールで「アマールと夜の訪問者」を地元の団体が上演するらしい。オーケストラじゃなくて、ピアノやギターにリダクションしているようだ。入場料は1000円、このタウン誌を見たと言えばワンコイン500円、それなら行ってみよう。

アマール:太田温子
 アマールの母親:西畑賀世
 ガスパール:中島康博
 メルヒオール:三原剛
 バルタザール:熊沢章
 従者:平欣史
 神様:中村たかし
 ピアノ:辻川謙次、山本亜里
 ギター:中村たかし

なら100年会館の大ホールでは大黒摩季のコンサート、「アマールと夜の訪問者」は中ホールになる。こちらは初めてだ。ホールの壁は上部がガラス、変わった造りになっている。舞台は数点の道具だけで至ってシンプルなものだ。まあ元々がテレビ向けだからスタジオの小さなセットで充分なのかも知れない。

3人の王のうちメルヒオールを歌ったベテラン三原剛さんのプロデュースということになっている。出演者は若い人たちが中心で、名前を知る人はいないので音大生か卒業後間もない人といったところか。 主人公アマールの太田温子さんとその母親役の西畑賀世さんはキーロールに配されるだけに、歌も演技も達者だ。母子の長い掛け合い、そして最後にアマールにもたらされた奇跡の場面はなかなか感動的だ。
 3人の王はそれぞれに熱演ではあるが、会場のバルコニーや客席を歩きながらということもあってか、アンサンブルには問題がある。普通に上演すれば40分程度の作品なので、村人たちが客人をもてなすシーンで、台本にはない村人たちののど自慢が挿入される。「こうもり」でやるようなガラ・パフォーマンスという感じだが、そこでの3組の歌はご愛敬といったところ。選曲も歌唱もいまいちで何だこれはという感じ。まあ、学生さんのこと、目くじらを立てるのも大人げないか。

この作品、ニューヨークで観て以来、二度目、何と30年振りになる。そのときに買ったCDを久しぶりに取り出して聴いてみた。1951年のオリジナルキャストの録音だ。そうだったのか、トーマス・シッパーズが指揮しているんだ。メノッティとこの夭折した指揮者は、ブリテンとピアーズのような関係だったらしい。そんなことはともかく、出演者の英語の歌詞がとてもクリアだ。イタリア語じゃないので、初め違和感があるが、すぐに慣れる。今回の奈良公演は日本語訳詞だったが、そもそも英語だから日本語でもあまり問題ない。イタリア語だったらそうはいかなかっただろうけど。

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